
「立ち上がる時に膝が痛い…」

「階段の下りがつらい…」
そんな膝の悩みを抱えている時に医師に相談したら変形性膝関節症と言われた…
「自宅で筋トレや運動をしてください」と言われていても、実際に何をしたらいいのか悩んでいる方も多いと思います。
変形性膝関節症は、中高年の方に多い膝の疾患ですが、実は“膝だけ”の問題ではなく、
・筋力低下
・運動不足
・体重の変化
・歩き方や生活習慣
など、さまざまな要素が関係しています。
痛みがあると、「なるべく動かない方がいいのかな…」と思ってしまう方も少なくありません。
ですが、膝の状態に合わせて適度に身体を動かすことは、痛みや動きづらさの改善につながる可能性があります。
もちろん、無理に頑張る痛みを我慢する必要はありません。
大切なのは、“膝に負担をかけすぎず、出来る範囲で続けること”です。
この記事では、
1.変形性膝関節症の概要
2.自宅で出来る運動
3.日常生活での工夫
について、理学療法士の立場から分かりやすく解説していきます。
「少しでも歩きやすくなりたい」「これ以上悪化させたくない」そんな方の参考になれば幸いです。
変形性膝関節症とは?

変形性膝関節症:膝の滑らかな動きを生み出す軟骨がすり減って炎症や変形が生じた状態
変形性膝関節症は中高年以上に多く、筋力低下・運動不足・肥満・歩き方などさまざま要素が関係している言われています。
膝関節は”大腿骨”・”脛骨(すねの骨)”・”膝蓋骨(膝の皿)”の3つの骨で構成されています。これらの骨の表面にある関節軟骨や関節液が滑らかな動きを可能にし、スムーズに動けるようにしています。

関節の摩擦は氷同士の摩擦よりも低いと言われており、関節軟骨は非常に滑らかな動きを可能にしていると言われています。
筋力低下・体重増加・歩き方など様々な要素が膝関節の軟骨の摩耗を早くし、痛みや関節の動きづらさなどが生じてしまいます。そのため、初期段階から早めに気づいて”適切な運動”や”日常生活で出来る工夫”をしていくことが大切です。
変形性膝関節症の初期症状と進行すると…
【変形性膝関節症:初期段階】
1.立ち上がる時に膝が痛い
2.歩き始めが痛い
3.長く歩くと膝が痛い
4.正座しにくい
「立ち上がる時に膝が痛い」「歩き始めが痛い」は特に変形性膝関節症の初期症状として多いです。もし、毎回立ち上がる時や歩き始めに膝が痛い・違和感がある時は整形外科に受診してみた方がいいかもしれません。
【変形性膝関節症:進行すると…】
1.安静にしてても痛い
2.膝が完全に伸びない
3.膝の変形がつよくなる
4.膝に水が溜まる
変形性膝関節症が進行すると安静にしてても膝が痛くなったり、関節の可動範囲が制限されてくるようになります。座っているだけで痛い、膝が伸び切らないといった悩みが出るようになり、特に痛みに関しては常に悩まされるようになってしまいます。
見た目にも明らかな変化が現れるようになり、O脚やX脚の変形が強くなります。また、膝に水が溜まるようになり、定期的に注射で水を抜いてももらわらければいけなくなることも…

症状は個々で異なりますが変形性膝関節症が進行すると日常生活に大きな支障が出てきます…
変形性膝関節症のリスク要因
【変形性膝関節症のリスク因子】
1.加齢
2.筋力低下
3.肥満
4.ケガの既往(半月板損傷や靭帯損傷など)
加齢は誰でも避けることができないリスク因子ですが、加齢に伴い変形性膝関節症のリスクは上がることは避けられない事実…しかし、誰でも変形性膝関節症を誘発するわけではなく、個人差があります。90代でも元気に歩いている方もいらっしゃいますし、60・70代で膝が痛くて歩けない方もいらっしゃいます…
加齢は変形性膝関節症のリスク因子の1つですが、その他のリスク因子が加わることでリスクが増大するということ…

そのため、避けることの出来るリスク因子は早期から避けておくことが大切です。
変形性膝関節症のリスク因子として筋力低下と肥満は代表です。肥満体型で特にお尻・太もも周囲の筋力が乏しい人は膝の負担が非常に大きいため、気を付けなければいけません。
中高年以上で家からあまり出る機会・運動習慣の無い人は要注意です…
やはり健康的な生活を送るには定期的な運動習慣が非常に大切ですね!
変形性膝関節症かな?膝が痛む…という時は医療機関(整形外科)を受診
膝に痛みや違和感、特に初期症状のような「立ち上がる」「歩き始め」の時に膝が痛むようになれば一度医療機関を受診するようにしましょう。
自己判断せずに医療機関で、まずはきちんと診てもらうことが大切です。
基本的にはレントゲンで膝関節の状態確認を行い、必要に応じて軟部組織まで診ることができるMRIを行うこともあります。少々お時間がかかるつもりで行きましょう。
変形性膝関節症に対するおすすめ運動
変形性膝関節症に対する筋トレ

変形性膝関節症の進行を遅らせる・現状維持には筋力強化が基本です。
特に変形性膝関節症に対しては、お尻・太もも周りの筋力を鍛えることが大切!そして、お尻・太もも周りの筋肉の力を十分に発揮できるように、ふくらはぎや体幹の筋肉も鍛えておきましょう。
優先して行いたい筋トレ

【クラムシェル】
1.横向きに寝て、膝を軽く曲げる
2.足のかかとをつけたまま、上側の膝をゆっくり開く
3.お尻の筋肉を意識しながらゆっくり元に戻す
4.呼吸を止めずに、10回繰り返す
【鍛えられる筋肉】
中殿筋

【サイドレッグレイズ】
1.横向きに寝て、上側の脚をまっすぐに保つ
2.つま先を正面に向けたまま、脚をゆっくり持ち上げる
3.体が前後に傾かないように注意し、ゆっくり下ろす
4.呼吸を止めずに、10回繰り返す
【鍛えられる筋肉】
中殿筋

【シーテッド・エクステンション】
1.椅子に座り、背筋の伸ばす
2.片方の膝をゆっくりとまっすぐ伸ばす
3.つま先は天井に向けたまま、太ももの前側に力を入れる
4.膝を伸ばしたまま、10秒間保持する
5.ゆっくりと元の位置に戻す
6.反対側の脚も同様に行う
【鍛えられる筋肉】
大腿四頭筋

【パテラセッティング】
1.膝下にタオルをかます
2.タオルを押しつぶすように膝を伸ばし、力を入れたまま10秒保持
【鍛えられる筋肉】
大腿四頭筋

【ヒップエクステンション】
1.四つ這いの姿勢をとる
2.片脚を後ろに持ち上げる
3.腰が反らないように注意
4.ゆっくり元に戻す
【鍛えられる筋肉】
大殿筋・ハムストリングス

【ヒップリフト】
1.仰向けに寝て、膝を立てる(足は腰幅に開く)
2.お尻をゆっくり持ち上げる(肩から膝まで一直線になるようにする)
3.お尻をゆっくり下ろす(床につけず、繰り返す)
【鍛えられる筋肉】
大殿筋・ハムストリングス

【手すりスクワット】
1.足を肩幅に開いて立ち、つま先をやや外側に向ける
2.手すりを肩幅程度で持ち、背筋を伸ばして姿勢を整える
3.お尻を引くようにして、股関節と膝を曲げて腰を落とす
4.太ももが床と平行になる位置まで下ろす
5.かかとで床を押すようにして、ゆっくりと元の姿勢に戻る
【鍛えられる筋肉】
腹筋・背筋・大殿筋・大腿四頭筋・内転筋・ハムストリングス
行っておきたい筋トレ

【デッドバグ】
1.仰向けになり、手と足を天井に向ける
2.片方の手と反対側の足をゆっくり床ギリギリまで伸ばす
3.元の姿勢に戻り、反対側も同様に行う
4.腰が反らないようにお腹に力を入れたまま行う
【鍛えられる筋肉】
腹直筋・腹斜筋・腹横筋・脊柱起立筋

【バードドッグ】
1.体幹を安定させたまま、手足をまっすぐ伸ばす
2.動作中は背中や骨盤が動かないように意識
3.呼吸を止めずに自然な呼吸を続ける
※バランスが難しい場合は、手足を少し浮かせるだけなど無理の無い範囲で行う
【鍛えられる筋肉】
体幹全体(インナーマッスル)

【ドローイン】
1.椅子に座り背筋を伸ばす
2.鼻から息を吸ってお腹を膨らませる
3.口から息を吐きながら、おへその下あたりを背中側に引き込むようにお腹を凹ませる
4.その状態で10秒キープ
5.自然な呼吸を続けながら行う
【鍛えられる筋肉】
腹横筋

【カーフレイズ】
1.椅子や壁につかまり、体をまっすぐに保つ
2.ゆっくりとかかとを上げて、つま先立ちになる
3.ふくらはぎを意識しながら、ゆっくりと元の位置に戻す
4.反動を使わずに、10回繰り返す
【鍛えられる筋肉】
ふくらはぎ(下腿三頭筋:腓腹筋・ヒラメ筋)
変形性膝関節症に対する有酸素運動

ウォーキング
【ウォーキング効果】
1.筋力の維持
2.関節の動き改善
3.体力維持
4.活動量低下の予防
【ポイント】
少し息があがる程度
平坦な道を選ぶ
クッション性のあるシューズを選ぶ(ウォーキングシューズを選ぶ)
痛みが強くなる前に休む
【注意点】
長時間の歩行を避ける
痛みを我慢して歩き続ける
硬い路面・不整地は出来るだけ避ける
合わない靴を履く
エアロバイク
【エアロバイク効果】
お尻・太ももの筋力強化
関節の循環改善
【特徴】
ウォーキングより膝への衝撃が少ない
転倒リスクが低い
ウォーキングより痛みが強い時期でも行いやすい
【ポイント】
サドルを低くしすぎない(足が伸びる時は膝が少し曲がる程度)
軽く回せる強度にする
水中運動
【水中運動の効果】
体力維持向上
筋力維持向上
バランス能力維持向上
水の抵抗で消費カロリー増加
【水中運動の特徴】
浮力で膝の負担が少ない
体重が重たい人でも行いやすい
水の抵抗で筋力・バランス能力向上効果
【ポイント】
水中なので無理をしない(溺れると命に係わることも)
水分・ミネラル補給を怠らない(足の攣り防止のためにも)
変形性膝関節症に対するストレッチ

変形性膝関節症に対してストレッチは最優先というわけではありませんが、筋トレ・有酸素運動と組み合わせて続けると効果的です!

【腸腰筋ストレッチ】
1.片膝を立てて、もう片方の足を後ろに引く
2.前の膝に両手を添え、背筋を伸ばして上体を起こす
3.骨盤を前にゆっくりとスライドさせる
4.後ろの足の付け根や太ももの前側が伸びているのを感じる
5.そのまま20~30秒キープする

【大腿四頭筋ストレッチ】
1.片足でしっかりと立ち、姿勢を保つ
2.片方の足首を持ち、かかとをお尻に近付けるように引き寄せる
3.膝を揃えたまま、太もも前側の伸びを感じる
4.その姿勢を30秒キープ
※バランスが不安定な方は壁や椅子・手すりに手を添えると安定します

【ハムストリングスストレッチ】
1.椅子に軽く座り片方の膝を伸ばす
2.背筋を伸ばしたまま状態をゆっくり前に倒す
3.太もも裏が伸びるのを感じながら30秒キープする
4.ゆっくりと状態を起こす

【下腿三頭筋】
1.壁の前に立ち、両手を肩の高さで壁につく
2.前の膝を軽く曲げて、体を壁に近づける
3.後ろ足のかかとは床につけたまま、ふくらはぎが伸びているのを感じる
4.その姿勢を30秒キープする
日常生活の工夫

変形性膝関節症は運動だけでなく、日常生活を工夫することでより維持・進行を遅らせることに繋がります。運動を定期的に行っていても、日常生活で膝に負担をかけてしまっては、変形性膝関節症が進んでしまう可能性があります。

運動だけでなく、日常生活も出来る範囲で気を付けなければいけません。
【長時間の同じ姿勢を避ける】
30~60分毎に動く
長時間座りすぎない
【立ち上がりを工夫する】
立ち上がる時に前かがみを意識する
テーブルなどを支えにする
【階段は手すりを使う】
階段は手すりを使う
痛くない方の足から上り、足を揃えながら上る
痛い方の足から下りて、足を揃えながら下りる
【体重管理を意識】
食べ過ぎと定期的な運動を意識する
【歩き方を意識】
気持ち小股で歩く
痛みを我慢し過ぎない
【クッション性のある靴を選ぶ】
すり減った靴・サンダル・革靴などは避ける
【床生活を減らす】
正座や深いしゃがみ込みはNG
椅子・テーブルやベッドを利用する
【冷え対策をする】
お風呂で温める
サポーターを利用する
【痛み0を目指さない】
痛みにこだわりすぎることが痛みを増長します
今より痛みを抑えることを目指しましょう
まとめ
本記事では変形性膝関節症についてお伝えしてきました。
変形性膝関節症は膝の滑らかな動きを生み出す軟骨がすり減って炎症や変形が生じた状態です。
その結果、痛みや関節可動範囲の制限が生じ日常生活に支障が生じてしまいます。特に痛みは日常生活を大きく阻害してしまいます。変形性膝関節症が進行しないために今日からでも出来ることはやっておくことが大切です。
変形性膝関節症のリスク因子として、「加齢」「筋力低下」「肥満」「過去のケガ」などが挙げられました。加齢は誰にでも避けつことはできませんが、変形性膝関節症は個人差があるため他のリスク因子である「筋力低下」や「肥満」などが加わることで進行してしまうことが考えられます。
普段の日常生活から定期的な運動が欠かせません。特に筋トレや有酸素運動は膝を守ることだけでなく、筋力・体力維持にも繋がってきます。ストレッチ単体では大きな効果は期待出来ないため、補助的な役割として行いましょう。

今日が一番若い・症状が軽い日です。
今日から運動を定期的に行い最後まで健康的に過ごせるように頑張りましょう!
知って、行動するまでがセットです!
T療法士のセルフケアクリニック 
